『自省録』名言集。あらすじ&読み方もわかりやすく解説

哲学

\この記事を読むメリット/

『自省録』の名言を知りたい。
『ミステリと言う勿れ』に出てきた『自省録』が気になっている。
そんなあなたのために、『自省録』の名言を厳選してピックアップ。この本の読み方や魅力もわかるよう解説を加えて書きました。

今回紹介するのは『自省録』。この本はおよそ2000年前、時のローマ皇帝マルクス・アウレーリウス1によって書かれました。数多くの哲学者や政治家たちの座右の書として愛読されてきた、まさに名著of名著です。

著:神谷 美恵子
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  • 書籍名:自省録
  • 著者:マルクス・アウレーリウス  (著), 神谷 美恵子 (翻訳)
  • 出版社 ‏ : ‎ 岩波書店; 改版
  • 発売日 ‏ : ‎ 2007/2/16
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 327ページ

生きているうちに善き人たれ―ローマの哲人皇帝マルクス・アウレーリウス(一二一‐一八〇)。重責の生のさなか、透徹した内省が紡ぎ出した言葉は、古来数知れぬ人々の心の糧となってきた。神谷美恵子の清冽な訳文に、新たな注を付す。

Amazon内容紹介より、一部抜粋
ゆるい
ゆるい

この記事に出会っていただき、心より感謝いたします。
執筆者のあつくてゆるい(@atsukuteyurui)と申します。もし難しいところや、質問などあればお問い合わせからお気軽にご連絡ください。精一杯対応させていただきます。


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『自省録』名言集。あらすじ&読み方もわかりやすく解説

名言集

まずは『自省録』にあるしびれる格言10個を紹介します。

死と生、名誉と不名誉、苦痛と快楽、富と貧、すべてこういうものは善人にも悪人にも平等に起るが、これはそれ自身において栄あることでもなければ恥ずべきことでもない。したがってそれは善でもなければ悪でもないのだ。

『自省録』マルクス・アウレーリウス著, 神谷美恵子訳 p30(第2巻 11)

肉体に関するすべては流れであり、霊魂に関するすべては夢であり煙である。人生は戦いであり、旅のやどりであり、死後の名声は忘却にすぎない。しからば我々を導きうるものはなんであろうか。一つ、ただ一つ、哲学である。

『自省録』マルクス・アウレーリウス著, 神谷美恵子訳 p34(第2巻 17)

何かするときいやいやながらするな、利己的な気持からするな、無思慮にするな、心にさからってするな。君の考えを美辞麗句で飾り立てるな。余計な言葉やおこないをつつしめ。

『自省録』マルクス・アウレーリウス著, 神谷美恵子訳 p40(第3巻 5)

あたかも一万年も生きるかのように行動するな。不可避のものが君の上にかかっている。生きているうちに、許されている間に、善き人たれ。

『自省録』マルクス・アウレーリウス著, 神谷美恵子訳 p55(第4巻 17)

生まれつき耐えられぬようなことはだれにも起こらない。同じことがほかの人にも起るが、それが起ったことを知らぬためか、もしくは自分の度量の大きいことをひけらかすためか、ともかくも彼は泰然として立ち、傷つきもしないでいる。無知と自負のほうが知恵よりも力強いとはまったく不思議なことだ。

『自省録』マルクス・アウレーリウス著, 神谷美恵子訳 p83~84(第5巻 18)

もっともよい復讐の方法は自分まで同じような行為をしないことだ。

『自省録』マルクス・アウレーリウス著, 神谷美恵子訳 p94(第6巻 6)

君の肉体がこの人生にへこたれないのに、魂のほうが先にへこたれるとは恥ずかしいことだ。

『自省録』マルクス・アウレーリウス著, 神谷美恵子訳 p103(第6巻 29)

君がなにか外的の理由で苦しむとすれば、君を悩ますのはそのこと自体ではなくて、それに関する君の判断なのだ。

『自省録』マルクス・アウレーリウス著, 神谷美恵子訳 p158(第8巻 47)

死を軽蔑するな。これもまた自然の欲するものの一つであるから歓迎せよ。〔…〕このことをよく考えぬいた人間にふさわしい態度は、死にたいして無関心であるのでもなく、烈しい気持をいだくのでもなく、侮蔑するのでもなく、自然の働きの一つとしてこれを待つことである。

『自省録』マルクス・アウレーリウス著, 神谷美恵子訳 p168~169(第9巻 3)

善い人間のあり方如何いかんについて論ずるのはもういい加減で切り上げて善い人間になったらどうだ。

『自省録』マルクス・アウレーリウス著, 神谷美恵子訳 p197(第10巻 16)

解説・考察(あらすじ&読み方)

“哲人君主”とも呼ばれたローマ皇帝による内省の書


『自省録』著者のマルクス・アウレーリウス・アントニヌスは、第16代ローマ皇帝。ストア哲学に精通しており、またよく国を治めたことから“五賢帝”の1人にも数えられる人物です。

自分の内を見よ。内にこそ善の泉があり、この泉は君がたえず掘り下げさえすれば、たえず湧き出るであろう。

『自省録』マルクス・アウレーリウス著, 神谷美恵子訳 p134(第7巻 59)

この言葉が象徴するように、この本は静かな瞑想のときに記された内省の書2。いうなれば、これはローマ皇帝の日記帳を盗み見ているような本なのです。

さて、そんな秘密の日記帳がなぜずっと読み継がれているかというと、そこには「人生をいかに生きるべきか」「困難とどう向き合っていくべきか」というヒントにあふれているから。

ローマ皇帝として生きていくこと、それは想像もできないような苦労の連続に他なりません。災害、疫病、戦争、部下の裏切り、家族の死…。厳しすぎる困難と格闘するなかで、彼は自分自身にくり返し言い聞かせ、鼓舞し、問いかけ、対話します。作中で何度も「君」と出てくるのは、自己への呼びかけなのです。

君の精神は、君の平生の思いと同じようになるであろう。なぜならば、魂は思想の色に染められるからである。であるとすれば、君は魂をつぎのような思想の連続で染めるがいい。たとえば−–−生きることが可能なところにおいては善く生きることも可能である。しかるに宮廷でも生きることはできる。ゆえに宮廷でも善く生きることができるのである。

『自省録』マルクス・アウレーリウス著 p82~83(第5巻 16)

ローマ皇帝らしい格式の高さと、我々と同じ1人の人間としての弱さ・葛藤・苦悩とが絶妙なバランスで絡み合った至極の名言集。彼が本気で生きたということが、ヒリヒリと伝わってきます。そして我々もまた「おまえは今を本気で生きているか?」「短い人生、本気で生きろよ!」と叱咤激励されるのです。

『自省録』は12巻に分かれていますが、章立てがあるわけでも、各巻のテーマが決まっているわけでもありません。なので、パラパラめくってみて、気になったところから読んでみるといいでしょう。

有名な神谷美恵子訳3だと、ぱっと見漢字も多く難しそうに見えるかもしれません。しかし、短い格言も多いですし、そういったところだけでも拾い読みしてみたらよいのではないでしょうか。どうか肩肘張らず、あなたなりのお気に入りの名言を探してみてください。

比喩表現の魅力


ここからは『自省録』の魅力をさらに深掘りしていきます。この本は第16代ローマ皇帝マルクス・アウレーリウスの内省を綴った日記だということはすでに見た通りですが、そのメッセージは「今を一生懸命生きよ」「判断が苦悩を生む」「他者に寛容であれ」みたいに、正直どこかで一度は耳にしたことがあるようなものも多かったりします。

しかし、なぜか不思議と新鮮な気持ちで読まされてしまう。これはなぜかと考えたとき、その巧みでユーモアあふれる比喩表現にあると自分は感じたのです。というわけでここで、『自省録』勝手に好きな比喩表現ランキング!


第5位 腋臭(わきが)のある人間に君は腹を立てるのか

腋臭わきがのある人間に君は腹を立てるのか。息のくさい人間に腹を立てるのか。その人間がどうしたらいいというのだ。彼はそういう口を持っているのだ、またそういうわきを持っているのだ。そいういうものからそいういうものが発散するのは止むをえないことではないか。

『自省録』マルクス・アウレーリウス著, 神谷美恵子訳 p87(第5巻 28)

「愚か者が悪いことをしてしまうのは仕方のないことであり、それに怒っても仕方がない」と伝えるために、腋臭と口臭をもってくるクセがすごい。


第4位 葡萄の樹のように、見返りを求めず房をつけよ

ある人は他人に善事を施した場合、ともすればその恩を返してもらうつもりになりやすい。第二の人はそういうふうになりがちではないが、それでもなお心ひそかに相手を負債者のように考え、自分のしたことを意識している。ところが第三の人は自分のしたことをいわば意識していない。彼は葡萄の房をつけた葡萄の樹に似ている。葡萄の樹はひとたび自分の実を結んでしまえば、それ以上なんら求むるところはない。〔…〕であるから人間も誰かによくしてやったら、(それから利益をえようとせず)別の行動に移るのである。あたかも葡萄の樹が、時が来れば新たに房をつけるように。

『自省録』マルクス・アウレーリウス著, 神谷美恵子訳 p74(第5巻 6)


第3位 隣の枝から切り離された枝は、樹全体からも切り離されたということ。人間もまた同じ

隣の枝から切り離された枝は、樹全体からも切りはなされずにはいられない。それと同様に、一人の人間から離反した人間は、社会全体から落伍したのである。ところが枝は他の者がこれを切りはなすのであるが、人間のほうは、隣人を憎み嫌うことによって自分で自分をその隣人からひき離すのだ。しかも彼はそうすると同時に共同社会の全体からも自分を削除したことを知らないのである。

『自省録』マルクス・アウレーリウス著, 神谷美恵子訳 p213(第11巻 8)



第2位 昨日は少しばかりの粘液、明日はミイラか灰

昨日は少しばかりの粘液、明日はミイラか灰。だからこのほんのわずかの時間を自然に従って歩み、安らかに旅路を終えるがよい。あたかもよく熟れたオリーヴの実が、自分を産んだ地をめたたえ、自分をみのらせた樹に感謝をささげながら落ちて行くように。

『自省録』マルクス・アウレーリウス著, 神谷美恵子訳 p68(第4巻 48)

人生が短いことのユーモラスな喩え。後半のオリーヴの実のくだりも好き。


第1位 波の絶えず砕ける岩頭のごとくあれ

波の絶えず砕ける岩頭のごとくあれ。岩は立っている、その周囲の水のうねりはしずかにやすらう。

『自省録』マルクス・アウレーリウス著, 神谷美恵子訳 p69(第4巻 49)

困難が訪れようとも、荒波のなかの岩頭のごとく毅然としていること。気高く耐え忍ぶことはむしろ「幸運」なのです。


以上、勝手に好きな比喩表現ランキングでした。ありきたりなメッセージでも、表現が秀逸なだけでこれほどまでに心に残り、読まされてしまう。これこそが『自省録』の魅力です。



時間軸を伸ばして俯瞰ふかんしてみることで、悟れることがある


君は多くの無用な悩みの種を切りすてることができる、なぜならばこれはまったく君の主観にのみ存在するからである。全宇宙を君の精神で包容し、永遠の時を思いめぐらし、あらゆる個々の物のすみやかな変化に思いをひそめ、誕生から分解に至るまでの時間のなんと短いことかを考え、誕生以前の夢幻と分解以後の永遠に思いを致すがよい。それによって君はたちまちひろびろとしたところへ出ることができるであろう。

『自省録』マルクス・アウレーリウス著, 神谷美恵子訳 p180(第9巻 32)

悩んだら時間軸をぐーんと伸ばして俯瞰して見てみる。すると今悩んでいることが、すごくちっぽけに思えてくる。これはマルクス・アウレーリウスの得意技だったようです。

『サピエンス全史』を読んだときも謎の“悟り”効果があるなーと感じていたのですが、

  • 宇宙の歴史→135億年
  • 地球の歴史→45億年
  • 人類史→250万年


こういう時間軸で物事をみていくと、自分の人生なんてまさに一瞬にすぎないと実感します。


「あたかも人生の最後の日のように生きろ」とマルクス・アウレーリウスはくり返し書きます4。人生最後の日に、あなたはだれかに裏切られたとか、環境に恵まれなかったなどと、小言を言っていたいですか?私たちには、小さなことでくよくよ悩みつづける暇などないのです。

一度しかない人生を懸命に、真剣に生きたい人、必読の書!

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口コミ

Amazonレビューから、ポジティブ・ネガティブな口コミを1つずつピックアップ。

ことり
ことり

人生の指針として

善く生きるとはなにか、人間関係、名声や富への欲求との付き合い方、約2000年前から人はずっと同じ悩み、苦悩に囚われているのだと実感させられます。自分が何のために生きているのか目的がわからなくなったり、相容れない関係の人が周囲にいたり。そんな時に善く生きるとはなにか、周りに振り回されずに生きるとはなにかということを教えてくれます。難しい言い回しもありますが、基本的に1節1節短く、1日5分でも読むことで自分に響く。言葉が見つかると思います。人生の指針としてこれからずっと迷う度に、また上手く行ってる時も自戒の為に読み続けるつもりです。

うさぎ
うさぎ

難しかった・・ごめんなさい

NHKの「百分で名著」で紹介されていて、番組がとても面白かったので、本書を読んでみました。
・・・日本語がわかりにくく、ぱっと読んでも意味がとりきれない。じっくり読む根気が続かず、飛ばし読みでざざ~っと読みました。1~2割くらいすんなり読みやすい短めの文があり、そこだけしっかり読み、なかなかいい。
また何年かして読み直したら、もっと深く読み込めるかもしれないが、今の私にはちょっと無理みたい。


2000年近く読み継がれてきた名著なだけあって、内容は一読の価値ありと評される一方、訳が読みづらいと感じる人もいるようです。個人的には、格式ある神谷訳をぜひ味わっていただきたいですが、難しいのが不安な人は『超訳 自省録 よりよく生きる』をまずは手に取るのもありかと思います。(超訳版もオーディブル聴き放題に入っています)

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まとめ

“だれよりも真剣に生きた第16代ローマ皇帝、秘密の日記帳

あえておどけた書き方をしてみましたが、この本はそれくらい肩肘貼らず、楽しみながら読めばいいと個人的には思います。クスッと笑えるところも結構あります。

明け方に起きにくいときには、つぎの思いを念頭に用意しておくがよい。「人間のつとめを果すために私は起きるのだ。」自分がそのために生まれ、そのためにこの世にきた役目をしに行くのを、まだぶつぶついっているのか。それとも自分という人間は夜具の中にもぐりこんで身を温めているために創られたのか。

『自省録』マルクス・アウレーリウス著, 神谷美恵子訳 p71(第5巻 1)

“朝起きれない”というだけで、そこまで考えないとあきまへんか?と思わずツッコミたくなる一節。しかもこれを書いているのはローマ皇帝で、本人は至って真剣なのかと思うと、なお笑いが込み上げます。

けれどもやっぱりいいこと言っているし「自分ももっと頑張ろう」と不思議と前を向ける。2000年間読み継がれてきた言葉の贈り物を、あなたもぜひ手に取って味わってみられてください。

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ゆるい
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