「ギブばかりしていていつも損している」
「自己犠牲ばかりで疲れた」
「まわりにテイクばかりの人がいて、困っている」
そんなあなたのために、米国トップビジネススクールの天才教授が書いた『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』を徹底レビュー。この本のポイントや魅力がわかります。
今回紹介するのは『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』。だれしもが当たり前に行っている“ギブ・アンド・テイク”を深堀りすることで、人間関係や自分の生き方までをも見つめなおすことができる1冊です。
- 書籍名:GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代(原題:GIVE AND TAKE: A Revolutionary Approach to Success)
- 著者:アダム・グラント
- 出版社 : 三笠書房
- 発売日 : 2014/1/10
- 言語 : 英語, 日本語
- ハードカバー : 382ページ
全米トップ・ビジネススクール「ウォートン校」の史上最年少終身教授でもあり、気鋭の組織心理学者が教えるビジネスの成功の秘訣。
Amazon内容紹介より、一部抜粋
「ギバー(人に惜しみなく与える人)」
「テイカー(真っ先に自分の利益を優先させる人)」
「マッチャー(損得のバランスを考える人)」
もっとも成功するのは誰だろう。
他人に優しくしていたら、厳しい競争を勝ち抜けない――?それは大きな誤解だ。
これからは、他者志向の思いやりの発想とコミュニケーションが、あなたの仕事に大きな成功をもたらす。リーダーシップ、営業、交渉、事業の立ち上げ、昇進まで……ありとあらゆるシーンでこの考え方が役に立つだろう。
『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』は“聴く読書”Audible(オーディブル)の無料体験で聴き放題。
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【ギブばかりの人へ】『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』要約・まとめ・感想【書評】
要約・ポイント
1. ギブ・アンド・テイクの関係では、ギバー(giver)テイカー(taker)マッチャー(matcher)3パターンの人が存在する
成功とは、人とどのように「ギブ・アンド・テイク」するかに大きく左右されるということだ。〔…〕
『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』p27~29
「テイカー」は常に、与えるより多くを受け取ろうとする。ギブ・アンド・テイクの関係を自分の有利になるようにもっていき、相手の必要性よりも自分の利益を優先する。〔…〕
ギバーはギブ・アンド・テイクの関係を相手の利益になるようにもっていき、受け取る以上に与えようとする。〔…〕
テイカーが自分を中心に考えるのに対し、ギバーは他人を中心に考え、相手が何を求めているかに注意を払う。テイカーなら、得られる利益が損失を上回る場合にかぎり、相手の有利になるように協力する。一方ギバーなら、いつ何時も、損失より「相手」の利益のほうが上回るように手を差し伸べるのだ。〔…〕
仕事においては、ギバーかテイカーかにはっきりと分かれることはほとんどなく、たいていの人が第三のタイプになる。それが、与えることと受け取ることのバランスをとろうとする「マッチャー」だ。マッチャーは常に“公平”という観点にもとづいて行動する。
2. 成功からほど遠いのはギバー、もっとも成功を収めるもギバー
調査によれば、成功からほど遠い位置にいるのは、ほとんどがギバーだ。どの重要な職業を例にとっても、ギバーはいつも割りを食っている。それは、自分の成功を犠牲にして、相手の利益を優先しているからなのだ。〔…〕
『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』p30~29
では、成功を収めるのはテイカーだろうか。それともマッチャーだろうか。
実は、そのどちらでもない。データをもう一度見て、私は驚くべきことを発見した。何と、それもギバーだったのだ。
3. 仮面をかぶった「泥棒」テイカーに気をつけろ
これまでに初対面の人と会ったときに身構えたことがあるなら、それはおそらく、相手が利己的な下心を抱いていることに感づいたからだろう。テイカーが近づいてくるのがわかると、人は心のドアを閉ざして交流を拒み、協力も信頼もしないことで自己防衛する。
『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』p69~70
こうされないように、テイカーは化けの皮をかぶって寛大に振る舞い、ギバーやマッチャーを装って相手のネットワークにまんまと入り込もうとする。〔…〕
テイカーは部下に対しては支配的になるが、上司に対しては驚くほど従順で、うやうやしい態度をとる。有力者と接するとき、テイカーはまさにペテン師になる。相手に気に入られようとせっせとおべっかを使うため、有力者はテイカーに好印象を抱く。ドイツの心理学者トリオによれば、初対面で一番好感をもたれるのは、「権利意識が強く、人を操作したり利用したりする傾向のある人びと」だという。
4. 「ギブの輪」は広がっていく
価値を交換するのではなく、リフキン1はひたすら価値を「増やす」ことを目指している。彼はあるシンプルなルールにもとづいて、人の役に立とうとする。それが「五分間の親切」だ。「五分間もあればできる親切を、“誰にでも”喜んでしてあげるべきなんです」
『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』p105~106
初対面の人に会うたびに、リフキンは相手にいくつか質問して、「五分間の親切」を実行するチャンスを探す。〔…〕
リフキンは、助けた人たちのうち何人が自分にお返しをしてくれるだろうか、とは考えない。
テイカーは自分を偉く見せて、有力者にとり入るためにネットワークを広げ、一方マッチャーは、人に親切にしてもらうためにネットワークを拡げる。それに対しリフキンは、「与えるチャンス」を生み出すためにネットワークを広げているのだ。〔…〕
リフキンに助けてもらったことに恩を感じると、人はその恩をほかの誰かに「送る」ようになる。これはつまり、気前よく自分の時間や専門知識を分け与えるたびに、リフキンは自分のネットワークの人びとにギバーとして行動していくよう背中を押しているということなのだ。
5. いつも奪われっぱなしのギバーへ。自分の利益はけっして見失うべからず。自己犠牲ギバーから他者志向ギバーへと転換せよ
自己の利益と他者の利益は、一つの座標の両極端に位置するものと思われがちだが、私は調査を通じて、この二つが完全に別個の動機であることを発見した。二つを同時に目指すことが可能なのだ。〔…〕
『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』p254~255
テイカーが「利己的」で、成功できないギバーが「自己犠牲的」なら、成功するギバーは「他者志向的」といっていいだろう。
自分を犠牲にして与えていれば、すぐにボロボロになってしまうだろう。「他者志向」になるということは、受けとるより多くを与えても、けっして自分の利益は見失わず、それを指針に、「いつ、どこで、どのように、誰に与えるか」を決めることなのである。
他者への関心に自己への関心がかなり結びつけば、ギバーは燃え尽きたりやけどしたりすることが少なくなり、成功しやすくなる。
感想・書評
いつもギブばかり。自分を犠牲にして損している人に、強くオススメしたい
非常にいい本でした。この本のメッセージはすごくシンプルで「情けは人のためならず2」の一言に尽きます。他にもいくつかポイントはあるのですが、正直結論だけ知りたければネットで要約を読めばある程度わかることでしょう。
しかしそれでもなお、この本は実際に手にとって読む価値がある1冊です。特にギブ・アンド・テイクの場面でいつもギブばかりで損している“自己犠牲”タイプの人たちには今すぐ読んでほしい。人生に役立つこと間違いありません。
“自己犠牲”タイプのギバーが、この本から特に学べるポイントは2つ。
1つは「あなたから奪ってくる“テイカー”の見極め方」について。Part2でガッツリと語られますが、facebookのプロフィールを見ただけでテイカーかどうかを見分けられる!企業の広報物に自分の写真をデカデカと載せているCEOは気をつけろ!などの研究結果はかなり面白い。
もう1つは「“自己犠牲”から脱し、成功するギバーへと進化する方法」について。Part6,7にありますが、成功からほど遠いギバーは“自己犠牲”なのに対し、成功するギバーは自分の利益もきちんと考えて振るまう“他者志向”だという研究結果があるそう。“自己犠牲”を卒業し、成功へと進む道筋が、確かなエビデンスによって描かれます。
こういうテーマって「根拠=オレ」の経験則で語られがち。しかし、この本は一流の研究者が3万人以上3を対象に行った研究を根拠に書かれており、客観性や説得力が段違いであると感じました。
アドラー心理学との共通点を指摘せずにはいられない
協力や他者への関心を提案する時に、私がしばしば聞く発言は「でも他の人はだれも私に関心を持ってくれない」というものである。
『人生の意味の心理学』A・アドラー著 第九章より
私の答えはいつもこうだ。「誰かが始めなければならない。ほかの人が協力的ではないとしても、それはあなたには関係がない。私の助言はこうだ。あなたが始めるべきだ。他の人が協力的であるかどうかなど考えることなく」
これはアドラー心理学の創始者、A・アドラー著『人生の意味の心理学』の一節。この一節を読むだけでも十分わかるように、『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時』はアドラー心理学と通じるところがあります。共通項を表にまとめてみました。
『GIVE & TAKE』成功するギバーの特徴 | アドラー思想・アドラー心理学 |
---|---|
他者志向(otherish giver) 「「他者志向」になるということは、受けとるより多くを与えても、けっして自分の利益は見失わず、それを指針に、「いつ、どこで、どのように、誰に与えるか」を決めることなのである4」。 | 共同体感覚(social interest) アドラー心理学を貫く価値観。social interest(社会的関心)という英訳からわかるように、共同体感覚とは他者へと向けられる“関心”を意味する。「人生とは、仲間に関心を持つこと〔…〕人類の幸福へと貢献することを意味する5」。 課題の分離 協働的、貢献的に他者と関係を築きつつも、過度な依存に陥らないよう、自分と他者の課題の境界はしっかり意識する。 |
楽観的 ギバーは「楽観的に解釈するので、すべての人のなかに可能性を見出そうとする6」。 | 勇気づけ アドラーの教育論などを見ると、彼がだれに対しても可能性を見出そうとしていたことは明らかである。こうした態度は勇気づけと呼ばれ、勇気づける人は「楽観的、あるいはプラス思考で他者に接7」するとされる。 |
他人の視点から見る 「人を真の意味で助けるには、自分のものの見方の外に出なければならない8」。 | 共感 アドラー流の共感とは「他の人の目で見、他の人の耳で聞き、他の人の心で感じる9」こと。 |
アドラー心理学は「人は他者とつながりあって生きていきていく存在。だとしたら、協力・貢献していくべきでしょう!」という思想がベースにあって、理論や技法が構築されています。ただ穿った見方をするならば、やや理想的すぎるし綺麗事に思えるところもあるんです。
しかしそうした綺麗事にも思える“他者貢献”こそが、自らの成功にもきちんと返ってくる。アドラー心理学の有用性が科学的に立証されているという意味でも、この本は大変興味深いです。
またその逆で「 “他者志向のギバー”って、結局どう実践していけばよいの?」という疑問に対しては、この本だけだとやや物足りなく思えます。実際に“他者志向のギバー”の道を歩んでいくための思想的・実践的な基盤を、アドラー心理学は提供できるのではないでしょうか。
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あなたの恩送り(Pay Forward)が社会を変える
この本は「ギバーになれば、自分にもちゃんとリターンがあるよ」という、個人レベルの話に還元されがち。しかし、ここでリターンばかりが強調されると、それは“ギバー”ではなく、もはや“マッチャー”になってしまうわけです。あくまでも恩は送るものであり、与えた人から直接の見返りを期待してはいけません。
そして自分が面白いと感じたのは、1人のギバーによる「恩送り」は、社会全体へと、現在から未来へと、その影響が波及していくということ。つまり、ギブすることは個人的な話にとどまらず、社会改革的な側面までもあるというのです。この点は実は著者はすごく伝えたいけれども、意外に見過ごされがちなポイントなのではないかと感じました。
ブラック企業にやりがい搾取、中抜きや不正受給、カルト宗教への多額献金 etc.「世の中にテイカーがあまりに多すぎないか?もっとギバーになって、よりよい社会をつくっていこうよ!」そんな著者の心の叫びが聞こえてくるようです。
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\『GIVE & TAKE』も“聴き放題”/
まとめ
道徳的なテーマを、科学的に証明する。
人間は他者と協力していかないと生きていけない社会的な生き物。ギブ・アンド・テイクはその基本原理であり本質的なテーマ。だからこそ、本書はこれだけ多くの人に評価されているのでしょう。
今日が人生で一番若い日。“ギブ・アンド・テイク”の問題に悩んでいる人をはじめ、そうでない人も本書を手に取ってみられてきっと損はありません。
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\『GIVE & TAKE』も“聴き放題”/
著者であるアダム・グラント氏のTED TALKもあわせてぜひ。(右下の「設定」から日本語字幕を表示できます)