【アドラー心理学】勇気づけとは?わかりやすく徹底解説

アドラー心理学
ゆるい
ゆるい

こんにちは、アドラー心理学を哲学的に研究する、あつくてゆるい(@atsukuteyurui)です。

「勇気づけ」とは自分自身や他者に、困難をのりこえるための活力を与える技法のこと。
その重要さは、アドラー心理学が「勇気づけの心理学」とも呼ばれるほど。

大学院の研究でアドラーの原著を読み込んできた筆者が、アドラー自身の思想を踏まえ、勇気づけについて徹底解説します。


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勇気づけの基礎・基本

勇気づけとは?

勇気づけ(encouragement)とは、アドラー心理学の対人支援における理論技法のことで、自分自身や他者に「困難を克服する活力を与えること1」です。


具体的になにが「勇気づけ」かは簡単に言いづらい部分はあるのですが、

・相手のしてくれたことに「ありがとう」を伝える

・結果が出せずに落ち込んでいる人に対して、プロセスを認める言葉を伝える


みたいなことは、「勇気づけ」の例として挙げることができます。

ゆるい
ゆるい

ただし「勇気づけ」は言葉で伝えるものばかりでなく、そもそもの態度・心構えが大事であることに注意が必要です!

くわしくはのちほど!



なお、勇気づけは定義が1つに定まっているものではありません。


アドラーの孫弟子に当たるディンクメイヤーは次のように定義しています。

勇気づけとは、自己尊重(自尊心)と自己信頼を築くのを支援するために個人の持ち味と潜在力に焦点を当てるプロセスであり、勇気と信頼を確立するのに欠かせない技術を適用することで現実化するプロセスである。

『勇気づけの心理学』岩井俊憲著 p34


これらの定義から、次のことが勇気づけのポイントだと言えます。

勇気づけのポイント

✔︎ 自尊心や自分への信頼を築く

✔︎ 個性や可能性を引き出す

✔︎ 挑戦したり、困難を克服するための活力を与える


きらら
きらら

アドラー自身は「勇気づけ」についてなにか言ってないの?



「アドラー心理学=勇気づけの心理学」と言われるくらいなのですが、アドラー自身は「勇気づけ」をしっかり定義はしていません。


ただ、「勇気づける」「勇気をくじく」などの表現は以下のようにちょくちょく出てきます。

アドラー
アドラー

子どもたちを育てる時、親や教師が決して子どもたちの勇気をくじくことがあってはならない。
(中略)
個人心理学は、子どもたちに、もっと勇気と自信を与えることで、また、子どもたちに困難は克服できない障害ではなく、それに立ち向かい征服する課題であると見なすよう教えることで、すべての子どもたちについて、その精神的な能力を刺激することを主張する。

『子どもの教育』A・アドラー著 岸見一郎訳 p176


原著を読めばわかりますが、アドラー自身が「勇気づけ」を強調している印象はそれほど受けません。



「勇気づけ」がこれだけ広まったのは、アドラーの弟子ドライカースの努力や、アドラー心理学が広まったアメリカの風土と当時の教育のニーズにマッチしたことが大きいようです。

そもそも勇気とは何か?

きらら
きらら

「勇気づけ」って言うけど、そもそも「勇気」ってなあに?

『勇気づけの心理学』(岩井俊憲著)の中では、アドラー自身の言葉を踏まえつつ「勇気」を以下の3つに整理しています。

勇気とは?

✔︎ 勇気とは、リスクを引き受ける能力

✔︎ 勇気とは、困難を克服する努力

✔︎ 勇気とは、協力できる能力の一部


前半2つの定義からわかるのは、人生の中でリスクを引き受けたり、困難を克服する活力となるものが「勇気」だということです。


また、最後の1つからは、勇気は、自己中心・競争心ではなく、他者へ貢献・協力できる人間の能力の一部とみなしていることがわかります。




また、アドラーの弟子のドライカースは「勇気」をよりきちんと定義しており、

勇気は、自己信頼(self-confidence)の具体的な表れであり、自分自身の能力を堅く信じることから生まれる


と述べているのは、アドラーの定義と比較して新しい部分です。



ドライカースは、この「自己信頼」としての勇気は、うぬぼれや根拠のない自信とは違い、

人生が我々のために準備しているかもしれないあらゆることに対処する能力があるのだという確信


であると説明します。


ゆるい
ゆるい

他にも、岩井氏は著書の中で、勇気に近い表現に「自己受容」があるとも説明します。


なお、勇気を失った人は、異常な劣等感をもち、それらを言い訳にして行動しなかったり、責任を負おうとしなかったりする「劣等コンプレックス」という状態になると言われます。


このように、困難や自分自身の弱さ・欠点もありつつも、それでも自分の人生を前向きにとらえて前進させていく力となるのが「勇気」だということです。


「ほめる」と「勇気づける」の違い

きらら
きらら

「勇気づけ」って「ほめる」と似た感じなのかな?

「勇気づける」とよく対比させられるのが「ほめる」です。


そして、一般的に「ほめる」と「勇気づける」は違うものであると言われます。


どのように違うのかをまとめたのが以下の表。


ポイントは、「ほめる」は与える側の関心にもとづき、達成・成功したことと引き換えに与えられるもの、「勇気づける」は与えられる側の関心にもとづき、相手が失敗しても送られるものであるという点です。

ほめる
✔︎ 与える側の関心
✔︎ 成功したことと引き換え

勇気づける
✔︎ 与えられる側の関心
✔︎ 成功、失敗に関係ない



例えば、親が子のサッカーの試合を見に行った場面で…

今日は素晴らしいゴールキックだった。お父さんは満足だ


と伝えたとします。


これは、ゴールキックが「達成・成功した」という条件つきで、父親の関心にもとづいた発言です。


この父親は、もし子どもがゴールキックを失敗したとしたら、

ゴールキックをミスするなんて、おまえにはガッカリしたよ


などと伝えるかもしれません。


このように、達成・成功したときに与えられる、一種の”ほうび”のようなものは「ほめる」と呼ばれるものです。




同じ場面で、勇気づけるとしたら、

ゴールキックのことでガッカリしてるようだけど、角度とスピードがすごかったよ!


のように、たとえ失敗したとしても、無条件で伝えられるもの…


これが「勇気づけ」であるとされます。(事例出典:『勇気づけの心理学』岩井俊憲 著p38~39)

ゆるい
ゆるい

ただし、
「これは”ほめる”?」
「これは”勇気づけ”?」

みたいに、実際に考えだすと意外に判断は難しかったりします。

実は「どのような言葉を伝えるか」以上に大事なことが「勇気づけ」にはあります。

次では「勇気づけの前提となる大事なこと」について考えていきます。

勇気づけの前提となる大事なこと

「勇気づけ」の4つの前提要件

今の自分の言葉は”勇気づけ”になっただろうか?
それとも”ほめる”だっただろうか?


勇気づけを実践しようとすると必ずと言っていいほど起こるこの問い。


先に言うと「これなら100%勇気づけになる!」という絶対的なものはないので、勇気づけを実践する人は、永遠にこの問いに悩まされます。

ゆるい
ゆるい

“絶対”はないのですが、”勇気づけが上手になること”は間違いなくあるので、心配されないでください!

そして、これは私自身も感じますが…
“勇気づけ”は言葉よりもっと大事なことがあります。



「勇気づけ」は言葉よりも態度や心構えに近いものだと私自身も強く感じます。


このことについて『勇気づけの心理学』では、「勇気づけの前提要件」として以下の4つにまとめられています。


ゆるい
ゆるい

上の4つはどれも大事ですが、その中でも少し誤解されやすく、かつ重要なことを2つに絞ってお伝えします!

無条件の「尊敬」と「信頼」

1つ目は「尊敬と信頼」です。


個人的にもここが最初にして最大の勝負どころだと思いますが、勇気づけでは、

無条件で、相手を「尊敬・信頼」できるか


という点がとても重要になります。


きらら
きらら

無条件で相手を尊敬・信頼?

ゆるい
ゆるい

そう。
つまり、

・相手が地位が高いから尊敬する
(地位が低い人は尊敬しない)

・嘘をつかないから信頼する
(嘘をつく人は信頼しない)

みたいな条件がつかないということです。



こう聞くと、そんなの無理でしょ?と思われるかもしれませんね。


ただ、ここで言う「尊敬・信頼」とはよくある意味とは少し違います。




まず「尊敬」とは、役職や能力などが違っても「人間の尊厳」のレベルで見たら1人1人に違いはなく、相手の「存在そのもの」に対して敬意を払うということ。




このことを考える上で、人間の「存在価値」「機能価値」に注目するとわかりやすいです。


「機能価値」というのは、人間の能力・できること(機能)の価値のこと。


「個人の市場価値」みたいな言い方がされることがありますが、この表現はまさに人間の「機能価値」的な見方だと言えるでしょう。




ただし、この見方には大きな欠点があります。


それは「機能価値」だけで見るならば、「機能」が低い人は「価値がない」ことになってしまうという点です。


特に現代の資本主義社会においては「金を稼げる人間=価値がある」「金を稼げない人間=価値がない」と安易に還元されてしまいがちです。




そうすると、どうなるか?


例えば「金を稼げない自分は負け組で生きる価値がない」というように、生きることが苦しくなり、最悪の場合、自殺する人も出てくるかもしれません。


また、生まれながらに障害をもち、働きたくても働けない人は「価値がない」という発想になります。


そうした「機能価値」に思考が支配されてしまった結果として起こったのが、相模原障害者施設殺傷事件だと言えるでしょう。






それに対し「存在価値」は、人間の機能によって揺らぐものでは決してなく、「存在そのもの」の価値があることを意味します。


つまり…

生きているだけで価値がある


ということ。


勇気づけは、1人1人の「存在価値」を積極的に認め、受け入れ、「存在そのもの」に敬意を払います。


これが勇気づけにおける「無条件の尊敬」の意味なのです。


(無条件の)尊敬とは?

1人1人の「存在価値」を積極的に認め、受け入れ、「存在そのもの」に敬意を払うこと




また、同様に「信頼」も無条件のもの。


これは、ビジネスなどで使われがちな、条件付きの「信」と区別されます。


『勇気づけの心理学』では、(無条件の)信頼を以下の2点にまとめられています。

信頼とは…

✔︎ 良い点も悪い点も知った上で、良い点の可能性を信じ続けること

✔︎ 相手の行動の好ましくない点を発見したとしても、その行為をした人そのものを否定しない態度


きらら
きらら

「無条件の信頼・尊敬」が「勇気づけ」の最重要ポイントだということだね!

きららにもあるかなぁ〜存在価値…

楽観的であること

2つ目は「楽観的」であることです。


アドラー自身は著書の中で、楽観主義者を「あらゆる困難に勇敢に立ち向かい、深刻に受け止めない」と述べます。(『性格の心理学』A・アドラー著 岸見一郎訳 p21~22)


つまり、楽観的とは目の前の困難に打ちひしがれて絶望するのではなく、果敢に可能性を見出し立ち向かう態度を言うのです。

ゆるい
ゆるい

アドラーの言う「楽観的」とはどういうことかを、図を使って説明していきます!



まず、世の中の物事を見たときに「100%よい」「100%悪い」ということはまずないと言ってよいでしょう。


つまり、物事には、よい面と悪い面(課題)がそれぞれ必ずあります。


このとき、悲観的な人は物事の「悪い面」しか見えません。


「よい面」もきちんとあるのに「悪い面」しかないと錯覚し、絶望するのです。

ゆるい
ゆるい

「私にはいいところなんて何ひとつない」と嘆く人は、まさにこの見え方に陥っていると言えるでしょう。


では、「楽観的とは、物事のよい面だけを見るようにすれば良いのか?」と問われると、実はそうではありません。


「よい面100%」「よい面しかない」という見方は、ただの「能天気」「お気楽」であり、それはアドラーの言う「楽観的」とは意味が違います。




アドラーの述べる「楽観的」とは、「よい面」「悪い面」を冷静に分析した上で、それでも「よい面」に積極的に焦点を当て、希望や活路を見出すことです。


これが「勇気づけ」の「楽観的」な物の見方です。




現実の勇気づけの実践では、先ほどみた「私なんて何ひとついいところがない…」というケースは非常に多いです。


そうしたときに、勇気づけは決して、相手にお世辞(ウソ)を言って励ますわけではありません。


あくまでも事実として「よい面」をとらえ、冷静に伝えていきます。




ちなみに、私はアドラー心理学のカウンセラーの下で4年ほど毎月のように学び、実際に関わっている生徒のケースの相談をしていました。


その中で、どれだけ楽観的に見ようとしても「この子のいいところが見当たらない…どうしようもない」と言いたくなるケースもありました。


そんなケースでも、カウンセラーはその子の「よい面」をちゃんと見出していたことが印象的でした。


それほどまでに、アドラー心理学の勇気づけでは、物事のポジティヴな面に焦点を当て、希望・活路を見出す「楽観的」な見方が重要なのです。


ゆるい
ゆるい

また、「楽観的」な見方は、物事を別の角度から見直す「リフレーミング」も参考になります。
合わせて見てみられることをオススメします!

参考:【完全理解】一瞬で世界を変えるリフレーミングの効果と活用事例

楽観的とは?

✔︎ あらゆる困難に勇敢に立ち向かい、深刻に受け止めない

✔︎「悪い面」も認識しつつ、それでも「よい面」に積極的に焦点を当てる


なお、この記事では詳しくは触れませんが、「尊敬・信頼」や「共感」など勇気づけの重要ポイントの根底にあるのが、「共同体感覚」というアドラー心理学の価値観です。


「共同体感覚」については以下の記事にくわしく書いていますので、ぜひ合わせてお読みください!

勇気づけを実践するには?

最後に、勇気づけの実践について簡単に触れます。


『勇気づけの心理学』(岩井俊憲著)では、勇気づけの実践には以下の3つのステップがあると書かれています。


勇気づけ実践の3つのステップ

ステップ1 自分自身を勇気づける

ステップ2 勇気くじきをやめる

ステップ3 勇気づけを始める


ここでまず注目したいのは、勇気づけとは他人だけでなく、自分自身に対しても行われるということ。


自分自身にエネルギーが満ち、勇気がある状態でないと、他者への勇気づけはできないからです。


ゆるい
ゆるい

なお、上のステップは1→2→3の順番で進める必要はなく、同時進行で進めてもよいとのことです。



また、具体的な勇気くじき・勇気づけについては以下の表から、まずはザックリつかんでいただけたらと思います。


繰り返しになりますが、勇気づけのテクニックはもちろんあるのですが、これをすれば絶対に勇気づけになる、ということが決まっているわけではありません。


先に見た「信頼・尊敬」のように、言葉より大事な前提があるのです。


「勇気づけ」はテクニックに走るものではないことを、強調しておきます。

ゆるい
ゆるい

「絶対はない」と書きましたが、

・ありがとう
・嬉しい


という言葉は、勇気づけの言葉であると言われますので、積極的に使っていきましょう!

参考文献

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まとめ ー 勇気づけとは「向き合う」こと?

この記事では、勇気づけとは?というテーマで書いてきました。


まとめると以下の通りです。

勇気づけとは?

✔︎ 勇気づけ(encouragement)は、アドラー心理学の対人支援における理論・技法のことで、自分自身や他者に困難を克服する活力を与えること

✔︎「ほめる」とは違って、無条件に、相手の関心にもとづいて与えられる

✔︎ 言葉だけでなく、態度や心構えが重要となる。特に、無条件の尊敬・信頼は極めて大事

これは私の意見ですが、勇気づけとは「1人1人としっかり向き合う」ことだと感じます。


逆にいうと、きちんと向き合えてさえいれば、細かい「何と言うか」の部分は、それほど大きな問題にならないとも感じます。




無条件に相手を信頼・尊敬し、個に向き合う。


ここに勇気づけの真髄があるのではないでしょうか。


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