勇気づけとは?具体例までわかりやすく解説【アドラー心理学】

アドラー心理学

\この記事を読むメリット/

「“勇気づけ”ってどんな感じだろう?」
「人間関係で、うまくいかずに悩んでいることがある」
“勇気づけ”を子育てや、教育のなかですぐに実践したい」
そんなあなたのために…
アドラー研究者が「勇気づけ」を他サイトよりも、わかりやすく&くわしく解説。
この記事を読むと「勇気づけ」がすぐに実践できるようになります。


この記事に出会っていただき、心より感謝いたします。大学院でアドラーを研究し、日々の生活・仕事でもアドラー心理学を実践する、あつくてゆるい(@atsukuteyurui)と申します。

さて、アドラー心理学は「勇気づけの心理学」とも呼ばれるほど「勇気づけ」は重要な考え方。

私自身も「勇気づけ」に出会って、いろんな人との人間関係がとてもスムーズになりました。

この記事を読んでくださった全ての人に「勇気づけ」を今すぐ役立て、よりよい人生へとつなげてもらえるよう、心をこめて書いていきます。

ゆるい
ゆるい

読んでくださった方にご満足いただけるよう、わかりやすく書くことを心がけています!
しかし、もし難しいところや、質問などあればお問い合わせからお気軽にご連絡ください。
精一杯対応させていただきます。


✔︎ 補足:記事の信頼性

筆者(@atsukuteyurui)のプロフィールは以下の通り。アドラーカウンセラーに弟子入りし、アドラー心理学の勉強&実践を続けています

・アドラー心理学の各種講座受講済み
 ※アドラー心理学ベーシック講座, SMILE, STEPなど

・ELMリーダー

・アドラー心理学実践 8年目

・大学院にて、アドラーの原著を読み込み論文執筆(完了)


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勇気づけとは?具体例までわかりやすく解説【アドラー心理学】

勇気づけとはなにか

勇気づけ(encouragement)とは、アドラー心理学の対人支援における理論技法のことで、自分自身や他者に「困難を克服する活力を与えること1」です。

まず「人間はつねに変化し、成長しつづけるもの」であるとアドラー心理学では考えます。

しかし、変化・成長のためには大なり小なり困難をのりこえる必要があります。

そして、困難をのりこえ、成長していくにはエネルギーが必要。

そこでアドラーは人間が変化・成長するためのエネルギーを「勇気」と名づけたのです。

勇気とは

勇気とは、困難をのりこえ、変化・成長しつづけるために必要なエネルギーのこと

『勇気づけの心理学』(岩井俊憲著)では、アドラー自身の言葉を踏まえつつ「勇気」を以下の3つに整理しています
✔︎ 勇気とは、リスクを引き受ける能力
✔︎ 勇気とは、困難を克服する努力
✔︎ 勇気とは、協力できる能力の一部


ここでもう一度、最初の勇気づけの定義をみると、勇気づけとは「困難を克服する活力を与えること」となっています。

  • 困難を克服する→変化・成長する
  • 活力を与える→エネルギーを与える


と読み替えると、勇気づけとは「変化・成長するためのエネルギーを与えること」だとわかります。

勇気づけとは

勇気づけとは、変化・成長するためのエネルギー(勇気)を与えること


ちなみに「アドラー心理学=勇気づけの心理学」と言われるくらいですが、アドラー自身は「勇気づけ」をしっかり定義はしていません。

ただ、「勇気づける」「勇気をくじく」などの表現はちょくちょく出てきます。

アドラー
アドラー

子どもたちを育てる時、親や教師が決して子どもたちの勇気をくじくことがあってはならない。〔…〕
個人心理学は、子どもたちに、もっと勇気と自信を与えることで、また、子どもたちに困難は克服できない障害ではなく、それに立ち向かい征服する課題であると見なすよう教えることで、すべての子どもたちについて、その精神的な能力を刺激することを主張する。

『子どもの教育』A・アドラー著 岸見一郎訳 p176


つまりアドラーが言いたいのは、

勇気があればなんでもできる!

ということだと思っていいです。アントニオ猪木さん(元気があればなんでもできる!)とおなじです。

けれども、逆にいうと「勇気」がないと、なにもできないのです…。

勇気をなくした人は、大きな劣等感をもち、それらを言い訳にして行動しなかったり、責任を負おうとしなかったり…

変化・成長をやめて、自分の殻に閉じこもろうとするのです。

これを「劣等コンプレックス」といいます。

↓「劣等コンプレックス」は「勇気」を失った人の話。あわせて読むと「勇気」についても理解が深まります。


みなさんの周りにも「どうせ自分なんて…」と変化・成長をやめて、殻に閉じこもっている人はいるのではないでしょうか?

もしくはあなた自身が、変わることを恐れている、勇気を失った人かもしれません…。

けれども「勇気づけ」をきちんと学び、正しく実践すれば大丈夫。

きっと事態はよい方向へと進んでいきますよ!



「ほめる」と「勇気づける」の違い(勇気づけの具体例①)

「勇気づけ」ってどうやるの?

ここからは少しずつ「勇気づけ」を実践できるようにしていきましょう。

まずは、私たちにとってより身近な「ほめる」と比べます。

結論として「ほめる」と「勇気づける」は以下のように違うものです。


ここのポイントは、

  • 「ほめる」は与える側の関心にもとづき、達成・成功したことと引き換えに与えられるもの
  • 「勇気づける」は与えられる側の関心にもとづき、相手が失敗しても送られるもの


である点です。

「ほめる」と「勇気づける」のちがい

ほめる
✔︎ 与える側の関心
✔︎ 成功したことと引き換え

勇気づける
✔︎ 与えられる側の関心
✔︎ 成功、失敗に関係ない


たとえば、親が子のサッカーの試合を見に行ったとき…

今日は素晴らしいゴールキックだった。お父さんは満足だ


と伝えたとします。これは、ゴールキックが「達成・成功した」という条件つきで、父親の関心にもとづいた発言です。

この父親は、もし子どもがゴールキックを失敗したとしたら、

ゴールキックをミスするなんて、おまえにはガッカリしたよ


などと伝えるかもしれません。

このように、達成・成功したときに与えられる、一種の“ほうび”のようなものが「ほめる」です。

同じ場面で、勇気づけるとしたら、

ゴールキックのことでガッカリしてるようだけど、角度とスピードがすごかったよ!


のように、たとえ失敗したとしても、無条件で伝えられるもの…

これが「勇気づけ」だとされます2

ゆるい
ゆるい

ただし、
「これは”ほめる”?」
「これは”勇気づけ”?」
みたいに、実際に考えだすと意外にむずかしいです。
実は「どのような言葉を伝えるか」以上に大事なことが「勇気づけ」にはあるんです。
次では「勇気づけの前提となる大事なこと」について考えていきます。

勇気づけの前提となる大事なこと

勇気づけの4つの前提要件

今の自分の言葉は”勇気づけ”になっただろうか?
それとも”ほめる”だっただろうか?


勇気づけを実践しようとすると必ずと言っていいほど起こるこの問い…。

先にいうと「これなら100%勇気づけになる!」という絶対的なものはありません。なので、勇気づけを実践する人は、永遠にこの問いに悩まされます。

ゆるい
ゆるい

“絶対”はないのですが、”勇気づけがうまくなること”は間違いなくあります。
そして“勇気づけ”は言葉よりもっと大事なことがあります。


「勇気づけ」は言葉よりも、態度や心がまえに近いもの。

このことを『勇気づけの心理学』では、「勇気づけの前提要件」として以下の4つにまとめています。

ゆるい
ゆるい

上の4つはどれも大事ですが、その中でも少し誤解されやすく、かつ大事なことを2つにしぼってお伝えします!

無条件の「尊敬」と「信頼」

1つ目は「尊敬と信頼」です。

個人的にもここが最初にして最大の勝負どころだと思いますが、勇気づけでは、

無条件で、相手を「尊敬・信頼」できるか

がとても重要になります。

ゆるい
ゆるい

・相手の地位が高いから尊敬する(地位が低い人は尊敬しない)
・嘘をつかないから信頼する(嘘をつく人は信頼しない)
みたいな条件がつかないということです。


こう聞くと、そんなの無理でしょ?と思われるかもしれません。

ただ、ここで言う「尊敬・信頼」とはよくある意味とは少し違います。

まず「尊敬」とは、役職や能力などが違っても「人間の尊厳」のレベルでみたら1人1人に違いはなく、相手の「存在そのもの」に対して敬意を払うということ。


このことを考える上で、人間の「存在価値」「機能価値」に注目するとわかりやすいです。


①機能価値


「機能価値」は、人間の能力・できること(機能)の価値のこと。

「個人の市場価値」のような表現は、まさに人間の「機能価値」の見方だといえます。

ただし、この見方には大きな欠点が。

それは「機能価値」だけで見れば、「機能」が低い人は「価値がない」ことになってしまうところです。

とくに資本主義社会では「金を稼げる人間=価値がある」「金を稼げない人間=価値がない」と安易に還元されてしまいがちです。

そうすると、どうなるか?

金を稼げない自分は負け組で生きる価値がない…

というように、生きることが苦しくなり、最悪の場合、自殺する人も出てくるかもしれません。

また、生まれながらに障害をもち、働きたくても働けない人は「価値がない」という発想になります。

そうした「機能価値」に考え方が支配されてしまった結果として起こったのが、相模原障害者施設殺傷事件だといえるでしょう。

②存在価値


それに対し「存在価値」は、人間の機能によってゆらぐものではなく、「存在そのもの」に価値があることを意味します。

つまり…

生きているだけで価値がある

ということ。

勇気づけは、1人1人の「存在価値」を積極的に認め、受け入れ、「存在そのもの」に敬意を払います。

これが勇気づけにおける「無条件の尊敬」の意味なのです。

無条件の尊敬とは

1人1人の「存在価値」を積極的に認め、受け入れ、「存在そのもの」に敬意を払うこと


また、同様に「信頼」も無条件のもの。

これは、ビジネスなどで使われがちな、条件付きの「信」と区別されます。

『勇気づけの心理学』では、(無条件の)信頼を以下の2つのポイントにまとめています。

信頼とは

✔︎ よいところも悪いところも知った上で、よいところの可能性を信じ続けること

✔︎ 相手の行動の好ましくないところを発見しても、その行為をした人そのものを否定しない態度

楽観的であること

2つ目は「楽観的」であることです。

アドラー自身は著書の中で、楽観主義者を「あらゆる困難に勇敢に立ち向かい、深刻に受け止めない3といいます。

つまり、楽観的とは目の前の困難にうちひしがれて絶望するのではなく、果敢かかんに可能性を見出し立ち向かう態度を言うのです。

ゆるい
ゆるい

アドラーの言う「楽観的」とはどういうことか、図を使って説明していきます。


まず、世の中の物事を見たときに「100%よい」「100%悪い」ということはまずないといえるでしょう。

つまり、物事には、よい面と悪い面(課題)がそれぞれ必ずあります。

このとき、悲観的な人は物事の「悪い面」しか見えません。

「よい面」もきちんとあるのに「悪い面」しかないと錯覚し、絶望するのです。

ゆるい
ゆるい

「私にはいいところなんて何ひとつない」と嘆く人は、まさにこの見え方に陥っているといえるでしょう。


では、「楽観的とは、物事のよい面だけを見るようにすればいいのか?」と問われると、実はそうではありません。

「よい面100%」「よい面しかない」という見方は、ただの「能天気」「お気楽」です。それはアドラーの言う「楽観的」とは意味が違います。


アドラーのいう「楽観的」とは、「よい面」「悪い面」を冷静に分析したうえで、それでも「よい面」に積極的に焦点を当て、希望や活路を見出すことです。


これが「勇気づけ」の「楽観的」な物の見方です。

現実の勇気づけの実践では、先ほどみた「私なんて何ひとついいところがない…」というケースは非常に多いです。

そうしたときに、勇気づけは相手にお世辞(ウソ)を伝え、励ますわけでは決してありません。

あくまでも事実として「よい面」をとらえ、冷静に伝えます。


私はアドラー心理学のカウンセラーの下で、4年ほど毎月のように学び、実際に関わっている生徒のケースを相談していました。

その中で、どれだけ楽観的に見ようとしても「この子のいいところが見当たらない…どうしようもない」といいたくなるケースもありました。

そんなケースでも、カウンセラーはその子の「よい面」をちゃんと見出していたことが印象的でした。

それほどまでに、アドラー心理学の勇気づけでは、物事のポジティヴな面に焦点を当て、希望・活路を見出す「楽観性」が大事なのです。

ゆるい
ゆるい

また「楽観的」な見方は、物事を別の角度からとらえ直す「リフレーミング」も参考になります。
合わせて見てみられることをオススメします!
参考:【完全理解】一瞬で世界を変えるリフレーミングの効果と活用事例

楽観的とは

✔︎ あらゆる困難に勇敢に立ち向かい、深刻に受け止めない

✔︎「悪い面」も認識しつつ、それでも「よい面」に積極的に焦点を当てる


なお、この記事でくわしくは触れませんが、「尊敬・信頼」や「共感」など勇気づけの根底にあるのが、「共同体感覚」というアドラー心理学の価値観です。

「共同体感覚」については次の記事にくわしく書いています。ぜひ合わせてお読みください!

勇気づけを実践するには?(勇気づけの具体例②)

最後に、勇気づけの実践について触れます。

『勇気づけの心理学』では、勇気づけの実践には3つのステップがあるといいます。

勇気づけ実践の3つのステップ

ステップ1 自分自身を勇気づける

ステップ2 勇気くじきをやめる

ステップ3 勇気づけを始める


ここでまず注目したいのは、勇気づけとは他人だけでなく、自分自身に対してもおこなわれるということ。

自分自身にエネルギーが満ち、勇気がある状態でないと、他者への勇気づけはできないからです。

ゆるい
ゆるい

なお、上のステップは1→2→3の順番で進める必要はなく、同時進行で進めてもOK。

また、具体的な勇気くじき・勇気づけについては以下の表から、まずはザックリつかんでいただけたらと思います。


くり返しになりますが、勇気づけのテクニックはもちろんあります。

しかし、これをすれば絶対に勇気づけになる、ということが決まっているわけではありません。

さっき見た「信頼・尊敬」のように、言葉より大事なことがあるのです。

「勇気づけはテクニックに走るものではない」と、強調しておきます。

ゆるい
ゆるい

「絶対はない」と書きましたが
・ありがとう
・嬉しい

という言葉は、勇気づけの言葉であるといわれますので、積極的に使っていきましょう!

勇気づけをもっとくわしく学ぶには?

「勇気づけ」についてもっとくわしく学んでみたい!

そんなあなたにまずオススメしたいのが、この記事でもっとも参考にした『勇気づけの心理学』
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こちらも今回参考にしました。日本のアドラー心理学の第一人者である野田先生の勇気づけ本。どのような言葉をかければよいかの具体例がたくさんのっています。

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自分自身をまず勇気づけたい!という人はこの本が非常にオススメ。あまりに良い本なので、私は3冊買って3冊全部プレゼントしたくらい。読むだけで「これが勇気づけか~」と体感できる本です。

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また、この本はAmazonの「聴く読書」Audible(オーディブル)でも聴けます。私も寝る前や、運動しながらなど「ながら読書」で活用中。

Audibleでは40万作品以上のオーディオブックが配信されているのですが、その中に名著『嫌われる勇気』やシリーズ2作目の『幸せになる勇気』もあります。

体験でもらえるのは1冊なのですが、返品機能を使えば、これら3冊すべて聞くのも不可能ではありません。

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まとめ ー 勇気づけとは「向き合う」こと

この記事では、勇気づけとはなにかについて書いてきました。

まとめると以下の通りです。

勇気づけとは

✔︎ 勇気づけとは、変化・成長するためのエネルギー(勇気)を与えること

✔︎「ほめる」とは違って、無条件に、相手の関心にもとづいて与えられる

✔︎ 言葉だけでなく、態度や心がまえが重要。とくに、無条件の尊敬・信頼は極めて大事

勇気づけとは「1人1人としっかり向き合う」ことだと感じます。

逆にいうと、きちんと向き合えてさえいれば、細かい「何と言うか」の部分は、それほど大きな問題にならないとも感じます。

無条件に相手を信頼・尊敬し、個に向き合う。

ここに勇気づけの真髄しんずいがあるのではないでしょうか。

ゆるい
ゆるい

こんなに長い記事を最後までお読みいただいたこと、心より感謝いたします。
この記事がみなさまのこれからの人生に少しでも役立つことができたら、こんなに嬉しいことはありません。
もし難しかったところ、質問などあればお問い合わせからお気軽にご連絡ください。
精一杯対応させていただきます。
それでは、ありがとうございました。

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