「アドラー心理学の本がありすぎてわからない」
「他サイトでオススメされている本が、いわゆるビジネス本ばかりであまり参考にならない」
そんなあなたのために、アドラー研究者がアドラー心理学で、本当に読むべきおすすめ本を、入門〜上級まで厳選。
記事の信頼性
この記事を書いている人(@atsukuteyurui)のプロフィールは以下の通り。アドラーカウンセラーにも弟子入りし、アドラー心理学の勉強&実践を続けています。
【研究者厳選】アドラー心理学おすすめ本まとめ(入門〜上級)
【入門者向け】アドラー心理学オススメ本
マンガで分かる心療内科 アドラー心理学編
著者 :ゆうきゆう(原作)ソウ(作画)
発行年:2014 ページ数:147
出版社:少年画報社
アドラー心理学のマンガは何冊か出ていますが、ダントツ笑えるのがこの本。次に紹介する『マンガでやさしくわかるアドラー心理学』シリーズの方が、より勉強要素は強く中身も濃いですが、マンガ自体はいわゆるドラマ仕立ての成長物語です。
一方の『マンガで分かる心療内科 アドラー心理学編』はひたすらギャグ!ギャグ!ギャグ!けれども、精神科医が原作をしているので、ちゃんと勉強になって、内容もしっかりなのがなんとも魅力的。※下ネタ要素も多いので、苦手な人にはご注意ください。
マンガでやさしくわかるアドラー心理学(シリーズ)
著者 :岩井 俊憲(著)星井 博文(シナリオ制作)深森 あき/サノマリナ(作画)
発行年:2014〜2015
出版社:日本能率協会マネジメントセンター
『マンガでやさしくわかるアドラー心理学』シリーズは、マンガだとして侮るなかれ!マンガ部分もよくできていて面白いし、解説も充実。入門書として最適です。
シリーズ2冊目『マンガでやさしくわかるアドラー心理学2 実践編』は、ライフスタイル診断シートや、自己分析のためのワークシートもついており、アドラー心理学を実践的に取り入れたい人に自信をもってオススメします。
もしアドラーが上司だったら
著者 :小倉 広(著)
発行年:2017 ページ数:272
出版社:プレジデント社
仕事が上手くいかない部下(リョウくん)が、上司(ドラさん)のサポートで成長していく物語のなかで、アドラー心理学を日常に活かしていく方法がわかりやすく描かれます。
アドラー心理学のなかでも特に「勇気づけ」を実践していく本だと感じます。読むだけで「これが勇気づけか~」と強く体感できる本としてこの本の右に出る本はありません。
この本はAmazonの「聴く読書」Audible(オーディブル)で聴き放題で聴けます。
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人生が大きく変わるアドラー心理学入門
先に紹介した本と比べると、ストーリーはなく、いわゆる “入門書” という装いの1冊。先に紹介した「マンガでやさしくわかるアドラー心理学」シリーズと同じ著者なので、重なるところは多いです。(『人生が大きく変わるアドラー心理学入門』の方が1冊に整理されてまとまってはいます)
基本理論〜アドラー心理学の実践まで、かなりくわしく書かれています。(著者の岩井先生が、受講料6万円以上の「アドラー心理学ベーシック講座」で話されている内容とかなり近い)しかしながら、図が豊富で文章ばかりというわけではないので、入門者でも難しくはないと思います。
【中級者向け】アドラー心理学オススメ本
嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え
著者 :岸見 一郎/古賀 史健(著)
発行年:2013 ページ数:296
出版社:ダイヤモンド社
アドラー心理学ブームの火付け役となった『嫌われる勇気』。2013年12月の発売から以降、売れに売れ、海外で出版された翻訳版も含めると世界累計発行部数は485万部(2020年2月時点)を突破した名著です。
アドラー心理学に通じた哲人と、悩める青年の対話形式によって全編が構成されますが、我々が抱えがちな人間関係上の悩みや、承認欲求の問題へとズバッと切り込んでくるのは爽快の一言。
ただし、「課題の分離」や「トラウマは存在しない」などの印象的な考え方は、実際のアドラー心理学よりも言い過ぎなところもあり、どこか冷たくて「個人主義的な心理学」という誤解を与えるかもしれません。(実際その点が批判を受けているポイントでもあります)
『嫌われる勇気』がアドラー心理学の全てだと思うのはちょっと違うと思うのですが、それを差し引いてもシンプルに読み物としても面白いし、言い過ぎだからこそ多くの人の人生を変える力をもった “劇薬” になっていると感じます。
▼あわせて読みたい
幸せになる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教えII
『嫌われる勇気』の続編として書かれた『幸せになる勇気』もオススメ。こちらの本の方が実際のアドラーの思想に忠実であると感じます。(『嫌われる勇気』で出てきた「こんなのアドラー心理学じゃない!」という批判に応えようとしているのではないかと思ったり…)
『嫌われる勇気』以後、青年が学校の先生になったという設定で描かれますので、アドラー心理学をどのように教育に活かしていくかという知見に富んでいます。
ただ、アドラー思想に忠実になった分、過激さは減り、アドラー本来の「あたたかさ」を取り戻してはいますが、読み物としての面白さはやっぱり『嫌われる勇気』に軍配が上がるか…。
アドラー心理学を語る(シリーズ)
これまで紹介した本はいわゆる、『嫌われる勇気』以降のアドラーブームの中で発表された比較的新しい本ばかり。
それに対して、アドラー心理学の日本の第一人者である野田先生のこれらの本は1989年初版。実に30年以上前の著書です。だからといって古臭いとか、読みづらいとかいうことは決してありません。
日常生活〜カウンセリングまでも視野に入れたいわゆる正統派なアドラー心理学の入門書です。ビジネス書っぽいアドラーに飽きた人は、手に取ってみられることをオススメします。シリーズはどこから読んでもいいので、興味関心に合わせてまず1冊手に取ってみられたらいかがでしょうか。
子どもをのばすアドラーの言葉 子育ての勇気
著者 :岸見 一郎(著)
発行年:2016 ページ数:180
出版社:幻冬舎
一言でいうと、この本はアツい!子育てが “下手” な人(と岸見先生自身が表現している)に向けて、心から訴えかけてきます。
- 子どもを信頼することとは?
- 勉強する目的をどのように伝えるべきか?
- そのとき親は子どもとどう向きあえばよいのか?
岸見先生の意見が滔々と語られているため、体系的にまとまっている印象はうすく、読みにくさを感じる人もいるかもしれません。
しかしながらエッセンスがたくさん詰まっていますので、くり返し読めば、決して小手先ではなく、子どもと向き合う上で一番大切な心構えそのものが身についていくこと間違いありません。
この本はAmazonの「聴く読書」Audible(オーディブル)で聴き放題。
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\『子どもをのばすアドラーの言葉』も“聴き放題”/
アドラー心理学×幸福学でつかむ! 幸せに生きる方法
2021年出版の新しい本で、評判もとてもよいこちらの本。アドラー心理学のごちゃごちゃとした理論&技法を、構造化して整理されているのがまずこの本のおすすめポイント。
この本では、アドラー心理学の全体像をつぎの図に整理しています。
このような構造化された図が、本のなかにはいっぱい。とくにアドラー心理学は科学というよりも、「共同体感覚」という思想(哲学)がベースにあり、また各理論も「実践重視」であることをきちんと整理して伝えています。
この点は「アドラー心理学が絶対!」みたいな書き方がされている本とくらべると、冷静で読みやすいと感じます。また「アドラーで考えてみると…」というケーススタディが52個も載っているのも、実践的でとてもよいと感じました。
ただし、この本には不満なところも結構あります…。
アドラー心理学の最初の1冊というより、ほかに何冊か読んだ人が、頭のなかを整理するのにオススメしたい本です。
【上級者向け】アドラー心理学オススメ本
アドラー心理学の基礎をある程度学んだら、あとはアドラー自身の言葉に触れていくことがオススメ。“上級者向け”ではすべて、アドラー自身の言葉を大切にした本を紹介します。
昨今のアドラーブームの中で、多くの人が独自の“アドラー心理学”を披露していますが、何がホンモノで、何がニセモノなのか見分けがつくようになるでしょう3。
人生の意味の心理学
アドラーの原著に挑戦するなら、1冊目は『人生の意味の心理学』で間違いないです。この本は元々、アドラー自身が一般の人向けに書いたアドラー心理学の入門書であり、難しい言葉もほとんど使われていません。
アドラー心理学の基本概念も網羅され、アドラー思想の全体像が掴める1冊。(アドラーが実際に発表した当初から評価された本でもあります)
かつ、岸見先生には申し訳ないのですが、他のアドラーの訳書は訳がイマイチで誤訳も多いです。しかし、この本は比較的訳もよく、読みやすいこともオススメできます。
アドラーの原著では以下の2冊もオススメします。
『人間知の心理学』は『人生の意味の心理学』以前のアドラーの著書で、アドラーを一躍有名にした一冊。アドラーの原著では、『人間知の心理学』か『人生の意味の心理学』の評価が一般的に高いようです4。
『生きる意味を求めて』は晩年のアドラーの著書。宇宙の進化の物語の中に彼の思想を位置付けようとしており、読む人が読むと少しスピリチュアルだと感じるかもしれない。
アドラーの原著は他にもありますが、内容は重複する部分が多いので、すべて読む必要はないと自分は思います。
アドラーを読む―共同体感覚の諸相
著者は『嫌われる勇気』の岸見一郎先生。アドラーの原著を元に「共同体感覚」や、アドラー思想のポイントを、わかりやすく解説されていてオススメです。原著は難しいけど、すこし硬派に勉強したいというひとにピッタリの1冊。
The Individual Psychology of Alfred Adler
この本は、アドラーの大量にある論文や原著を、研究者が19の論点にまとめ、さらに解説を加えた本。アドラーの理論から哲学思想までを幅広く網羅。アドラーの年表や、索引、著作物・論文の一覧など資料も豊富。大学院でアドラー研究をした筆者が何度も助けられた、神本といっても過言ではありません。
なお、この本はkindle版があり、913円と破格。今は DeepLなどの和訳ソフトも充実していますので、電子書籍×和訳ソフトの力を借りながら、アドラー自身の言葉を直接味わってみてはいかがでしょうか?
▼その他チェックはしているがこの記事でオススメしていない本のリスト。
Amazonのオーディブルならアドラー心理学の名著がなんと“聴き放題”
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残念ながら『嫌われる勇気』は“聴き放題”の対象ではないのですが、『もしアドラーが上司だったら』『子どもをのばすアドラーの言葉』ほか、アドラー心理学の名著が聴き放題ラインナップに入っています。
▼オーディブル“聴き放題”対象のアドラー本(23.2.19 現在)
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