『モモ』(ミヒャエル・エンデ)名言まとめ

読書

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名作『モモ』の名言を知りたい!人生に役立てたい!
そんなあなたに、この記事ではミヒャエル・エンデの名作文学『モモ』の名言を厳選して紹介。
名言をただ挙げていくだけでなく、人生に生かしていけるよう考察をくわえつつまとめています。

この記事はつぎの書籍を参照し、大学院でホリスティック教育、哲学を専攻してきた執筆者によって書かれています。
・『モモ』(ミヒャエル・エンデ著/岩波書店)
『エンデと語る―作品・半生・世界観』(子安 美知子著/朝日新聞社)
著:ミヒャエル・エンデ, 著:大島 かおり
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『モモ』(ミヒャエル・エンデ)名言まとめ

ほんとうに聞くことのできる人は、めったにいないものです

小さなモモにできたこと、それはほかでもありません、あいての話を聞くことでした。なあんだ、そんなこと、とみなさんは言うでしょうね。話を聞くなんて、だれにだってできるじゃないかって。

でもそれはまちがいです。ほんとうに聞くことのできる人は、めったにいないものです。そしてこのてんでモモは、それこそほかにはれいのないすばらしい才能をもっていたのです。

『モモ』(文庫版)ミヒャエル・エンデ著 p23

モモは「聞く」ことが得意です。彼女は意見をいったり、励ましたり、慰めたりはしません。

黒い瞳で相手をじっと見つめ、ひたすら相手の話を慎重に、じっくりと聞きつづけるのです。

すると、深い悩みや悲しみを抱えていた人は、おのずと自分の中から答えを見つけ出します。

「聞く」をテーマとした、こんな美しい一節も。

友だちがみんなうちに帰ってしまった晩、モモはよくひとりで長いあいだ、古い劇場の大きな石のすりばちの中にすわっていることがあります。頭の上は星をちりばめた空の丸天井です。こうしてモモは、荘厳なしずけさにひたすら聞きいるのです。

こうしてすわっていると、まるで星の世界の声を聞いている大きな耳たぶの底にいるようです。そして、ひそやかな、けれどもとても壮大な、ふしぎと心にしみいる音楽が聞こえてくるように思えるのです。

『モモ』(文庫版)ミヒャエル・エンデ著 p32

「聞き上手」という言葉もありますが、私たちは本当に相手のことを聞けているでしょうか。

聞くとは、じっと相手の心の変化を待つこと。それは相手に時間をあたえることだとモモは教えてくれます。

つぎの一歩のことだけ、つぎの一呼吸のことだけ考える

いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、それはわかるかな?つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひとはきのことだけを考えるんだ。いつもつぎだけのことをな。

するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにゃあだめなんだ。

『モモ』(文庫版)ミヒャエル・エンデ著 p53

モモの友だちである道路掃除夫ベッポの名言。

先のことを見通すあまり「うわ〜まだこんなに残ってる」などと思い悩んでしまい、逆に捗らない…。

そんなとき“今この瞬間”だけに集中してみようと、ベッポは提案します。

ゆるい
ゆるい

『モモ』の物語は、仏教・禅の思想と通じるところがたくさんあります。

時間とは、生きることそのもの。人のいのちは心を住みかとしている

時間をはかるにはカレンダーや時計がありますが、はかってみたところであまり意味はありません。というのは、だれでも知っているとおり、その時間にどんなことがあったかによって、わずか一時間でも永遠の長さに感じられることもあれば、ほんの一瞬と思えることもあるからです。

なぜなら時間とは、生きるということ、そのものだからです。そして人のいのちは心を住みかとしているからです。

『モモ』(文庫版) ミヒャエル・エンデ著 p83

1秒、1分、1時間という単位で私たちは時間を計りますが、時間というのは本来そんなに無機質なものではありません。

みなさんも楽しく充実した時間が一瞬のように感じることはありますよね?

同じ1時間でも、私たちはそこに無限の深まりを持たせることができるのです。

「時間とは、生きるということ、そのもの」

つまり豊かな時間の過ごし方をして、豊かな経験をした分だけ、人生は充実していく…。


そして、自分の時間をどのように過ごすかを決めるのはすべてあなた自身に責任があります。

人間はひとりひとりがそれぞれのじぶんの時間をもっている。そしてこの時間は、ほんとうにじぶんのものであるあいだだけ、生きた時間でいられるのだよ。

『モモ』(文庫版) ミヒャエル・エンデ著 p225

人間はじぶんの時間をどうするかは、じぶんできめなくてはならないからだよ。だから時間をぬすまれないように守ることだって、じぶんでやらなくてはいけない。

『モモ』(文庫版) ミヒャエル・エンデ著 p236
ことり
ことり

時間を短縮せよ!もっと効率的な時間の使い方を!

と、意識が高い人たちは声をそろえて言います。

芸能ゴシップ、嫉妬心を生み出すSNS、射倖しゃこう心を煽るソーシャルゲームなど…無益なものに時間を使わせようと誘惑してくるものもたくさんあります。

必ずしもそれがすべて悪いとはいいませんが、大事なのは思考停止に陥らないこと。

あなたにとって真に価値ある時間の使い方はなにかを絶えず考え、自分の時間を守っていかねばならなりません。

時間をケチケチすることで、べつのなにかをケチケチしている

時間をケチケチすることで、ほんとうはぜんぜんべつのなにかをケチケチしているということには、だれひとり気がついていないようでした。自分たちの生活が日ごとにまずしくなり、日ごとに画一的になり、日ごとに冷たくなっていることを、だれひとりみとめようとはしませんでした。

『モモ』(文庫版) ミヒャエル・エンデ著 p106
ぺんぎん
ぺんぎん

楽するために効率化しているはずなのに、そればかりを求めていると逆に時間に追われているような感じになって疲れる…
ちょっとゆったりしただけで「時間をムダにしちゃった」と自己嫌悪に陥る…

みたいなことってありませんか?(筆者はよくあります)

そして効率化ばかりを求めていると、生活が画一的で、みな似たような人生になっていくというのもすごく納得感がありますね。

忙しい毎日なので効率化は必要。けれども、心がすり減るほどにやることではないし、どこかで失っているものがあるということを理解しておいた方がよいのだと思います。

ゆるい
ゆるい

この名言について考えているときに「最安値を求めてネット検索をやめた」という次の記事を思い出しました。モモのこの名言にも通じる話なので、ぜひあわせて読んでみられてください。
「最安値を求めてネット検索」をやめた私が得た宝「1枚50円の名刺」がわが人生を劇的に変えた訳

時間をさいてやるあいてがひとりもいなくなってしまったら…

この女の子は友だちをたよりにしています。じぶんの時間を他人のためにつかうのがすきです。しかし考えてみるに、もし時間をさいてやるあいてがひとりもいなくなってしまったとしたらどうでしょうか?
われわれはこれらの人間をすべて、手のとどかないようにひきはなしてしまえばいいのです。そうすれば、あわれにもモモは完全にひとりきりになってしまいます。そうなったら、いくら時間があろうと、なんになるでしょう。そんなものはもてあます、いや、呪いたくさえなるでしょう!

『モモ』(文庫版) ミヒャエル・エンデ著 p210-211

これはモモたちの敵、灰色の男たちの言葉。

だれかと時間をともにする、だれかと共有する時間には価値がある。

もちろん「おひとりさま」で十分だよ!と思う人もいるでしょう。

しかし、完全に孤独になってしまったら時間なんていくらあっても意味がないという、灰色の男たちの意見にも一理ある気がしてなりません。

時間を感じとるために心というものがある

光を見るためには目があり、音を聞くためには耳があるのとおなじに、人間には時間を感じとるために心というものがある。そして、もしその心が時間を感じとらないようなときには、その時間はないもおなじだ。

『モモ』(文庫版) ミヒャエル・エンデ著 p236

「時間をすごす=なにかを経験し、それをいかに味わうか」までがセットだと考えてみましょう。

このとき「心が時間を感じとらない」とはどういう意味になりそうか?

  • ロボットのように無機質に、作業的に時間を過ごす
  • 「あぁ、早く終わってくれないかなぁ」と目の前のことから逃避する


こんなふうに目の前の出来事をただやり過ごし、なにも感じられなかったとき、その時間はなかったも同じだという意味だと私は解釈しました。

また、まったく同じものを前にしても「よい経験ができた」と感じられる人「つまらなかった、意味わからなかった」で終わってしまう人がいます。

1つ1つの経験を味わい、意味や価値を引き出すのは、すべてあなた自身の心の感受性にかかっているわけです。

人生でいちばん危険なことは、かなえられるはずのない夢が、かなえられてしまうこと

モモ、ひとつだけきみに言っておくけどね、人生でいちばん危険なことは、かなえられるはずのない夢が、かなえられてしまうことなんだよ。

『モモ』(文庫版) ミヒャエル・エンデ著 p307

よく取り上げられるモモの親友ジジの名言ですが、これが結構むずかしい…。

というのも、筆者自身が「かなえられるはずのない夢が、かなえられた」という経験がなく、共感しづらいからだと思います。

しかしながら、夢は夢であるからこそ生きる活力となるところがあるのかもしれません。

(大学にいざ合格したら「大学合格」という目標を失って、なにをすべきかわからなくなってしまう的な)

また物語を語るのが得意なジジの場合、成功してからは以前のような独創的な語りができなくなってしまいます。

突如手にした地位を守るのに必死になって、本質を見失ってしまうような危険もあるのかもしれません。

オソイホドハヤイ

「ねえ、おねがい。」モモはカシオペイアに言いました。「もうちょっとはやく歩けない?」
「オソイホドハヤイ」
カメはこうこたえると、これまでよりもっとのろのろと這いました。そしてモモも──このまえのときにもそうだったのです──ここではそのほうがかえってはやくすすめることに気がつきました。ゆっくり行けば行くほど、まるで足もとの道路がふたりをのせて、どんどんはやくはこんでくれるようなのです。

『モモ』(文庫版) ミヒャエル・エンデ著 p346-347

ヨーロッパに古くから用いられている「ゆっくり急げ」という格言。また、日本にも「急がば回れ」という言葉もあります。

忙しい毎日、時間がないと焦ることもあるでしょう。

そんなときこそ一息ついて、心おだやかに一歩一歩、着実に歩みをすすめていく。それが一番の近道なのかもしれません。

まとめ

この記事ではミヒャエル・エンデの名作『モモ』から、名言を厳選してお届けしてきました。

『モモ』はいろんな教訓が引き出せる作品であるとは感じますが、エンデは次のようにも語っています。

戦後四十年の現代文学においては、作家は読者を啓蒙し、知られざる事実のあれこれを知らしめるものだ、とする考えが風靡してきました。いわば、作家は読者に教訓をされる教師だ、といったイメージです。が、私は、そんな創作態度を大いなる思い上がりだ、と断じます。

『エンデと語る―作品・半生・世界観』子安 美知子著 p62

つまり、この物語を「時間を大切にしよう」とか「ゆとりの時間をもとう」などの教訓話として、短絡的に受け取るべきではないとも思うのです。

いったい何がいいたいんだろう?とこむずかしく考えすぎず、1つのファンタジーとして童心に帰りながら楽しむのもいいのかもしれません…。

あなたのなかの『モモ』が、さまざまに広がっていきますように。

著:ミヒャエル・エンデ, 著:大島 かおり
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『モモ』(ミヒャエル・エンデ著)は、Amazonの“聴く読書”Audible(オーディブル)で聴き放題で聴けます。(『名探偵コナン』のコナン役でおなじみの高山みなみさんが朗読)

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