【アドラー心理学】夢解釈とは?どのように読み解くのか|ライフスタイルを映し出すもうひとつの鏡

アドラー心理学

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

夢は私たちに何を語りかけようとしているのだろうか。

12月22日(日)、ヒューマンギルド主催のアドラー派による「夢のワーク」に参加した。

カウンセラー養成講座で学んできた個人のライフスタイルを理解するための4つの情報源―家族布置、早期回想、特殊診断質問(クライアントの価値観を探る質問法)、そして夢。その中で、唯一未知の領域として残されていたのが「夢」の解釈だった。

日々の思考や行動パターンを映し出すライフスタイル診断。その修行の道のりで100人という目標に向かう中、アドラー自身が認める「夢」という鏡を覗かずにはいられない。

とはいえ正直なところ、「歯が抜ける夢は不安の表れ」「空を飛ぶ夢は希望の象徴」「虫の夢は困難の暗示」

そんな夢占いのイメージが先行し、「本当にライフスタイルがわかるの?」という疑念も拭えなかった。期待と懐疑が交錯する中で臨んだワークショップは、私の中の「夢」への見方を大きく変えることになる…。

この貴重な体験を、記憶の新鮮なうちに記録しておきたい。

オーディブル(テキスト)
“聴く読書" Audible(オーディブル)30日間無料(1,500円→0円)
✔︎ 目を使わないので、疲れない(通勤中にオススメ)
✔︎ 運動や家事の時間が読書時間に早変わり!
✔︎ 複数端末での同時再生(1契約で家族利用)OK
今日が人生で一番若い日。お得なこの機会をお見逃しなく。
»Audibleをいますぐ30日間無料体験

アドラー派の夢解釈とは

一般的な夢占いが示す「AならばB」という図式。アドラー派の夢解釈は、そんな単純な対応関係を超えて、物語そのものに耳を傾ける。

それは子ども時代の古い記憶である早期回想の解釈に近い。夢のストーリーの流れ、そこに漂う感情、そして主人公である「私」の動きのパターン―それらが織りなす意味の世界を読み解いていくのだ。

ただし、早期回想とは決定的に異なる点がある。
夢は今、この瞬間に直面しているライフタスク(人生の課題)をより色濃く映し出す。

締切に追われる時期に追いかけられる夢を見たり、人間関係の悩みを抱える時に迷子になる夢を見たり。それは仕事や人間関係といった外的な課題だけでなく、時には自分自身との対話(セルフタスク)を反映することもある。

夢は私たちの内なる声。それは体調の変化や日々の出来事と同じように、何かを伝えようとしている。

その声を聴き取るために、枕元にメモを置いておくのがいいそう。すぐに霧散する夢よりも、自然と記憶に残る夢こそ、より重要なメッセージを携えているという。

夢の読み解きの3ステップ

夢の解釈は以下の3つのステップで進めていく。

ステップ1:夢を語る

解釈で扱う夢は3種類ある。

  1. 最近見た鮮明な夢
  2. 子どもの頃から覚えている夢
  3. 繰り返し見る夢

私は最近見た印象的な夢を取り上げた。

ある日、乗り合いタクシーだと思って乗車した。すると、運動部の男子大学生のような人々が次々と乗り込んできた。不安を感じながら隅に座っていると、彼らは私の近くに荷物を置き始め、ついには自分の前のシートまで倒された。圧迫感を感じ、「乗るスペースがない」と声を上げたが無視された。「乗り合いタクシーだと思って乗ったんですが」と告げると、「これは私たちが借りたレンタカーです」という返事。謝って降りようとしたものの、街中から郊外の海沿いの道を走っていたため、「駅の近くで降ろしていただけませんか」と頼んだところで目が覚めた。

ステップ2:対話を通じた解釈

夢は独りで解くパズルではない。カウンセラーとの対話を通じて、様々な気づきが浮かび上がってくる。まず問われるのは、この夢を見たタイミングと、いま向き合っているライフタスクだ。

私の場合、職場での人間関係が大きなテーマとなっているのは明らかだった。

仕事自体はとても順調なものの、仕事の方針の違いをきっかけに直属の上司からパワハラまがいの行為を受けた。謝罪はなく、その後ほとんど口をきかない状況が続いている。本来なら好きな部署なのに、上司についていけないという理由で来年度の異動を希望している状況だった。

また同じ時期に、次のような傾向の夢を何度も見ていた。

  • 自動車に乗っている
  • 疎遠な人との居心地の悪い出会い
  • 警察の登場
  • 圧迫感
  • 追跡

これらの夢から浮かび上がってきたメッセージは、

  • いっしょに進みたい願望
  • 疎外感
  • 対立

普段は自動車を運転しないのに、なぜ車の夢ばかり見るのだろう?とそもそも疑問に思っていた。

「車を職場のメタファーとして見ると、本当は一緒に前に進みたいのに邪魔が入る」というカウンセラーの言葉に、心が大きく揺さぶられた。

また、どの夢でも自分から積極的に思いを伝えない傾向があることにも気づかされた。これは私のライフスタイルとも関連しているのかもしれない。

コミュニカティブに見えて実は自己開示が少ない、特に上司に対して「察してほしい」という態度を取りがちな自分の特徴が見えてきた。思ったより被害者意識が強いのかもしれないという気づきもあった。

ステップ3:未来につなげる

アドラーのカウンセリングの特徴は未来志向にある。

解釈だけで終わらせず、現実の課題にどう向き合うかを探っていく。その手がかりとして「夢を好きに書き換えてみる」という方法がある。夢という自由な舞台だからこそ、しがらみを超えて新しい展開を試すことができる。その過程で、現実での行動のヒントや自己理解が深まっていくのだ。

私の場合、このステップをサイコドラマ(即興劇を通じた心理療法)として体験した。参加者がそれぞれ夢の登場人物を演じ、様々な展開を試みる中で、新たな気づきが生まれていった。その具体的な内容については、記事を分けて紹介したい。

夢解釈はただの“こじつけ”?

「これはただのこじつけではないか?」という声が聞こえてきそうだ。その通りで、夢解釈に絶対的な正解はない。

大切なのは人生に役立たせるために有用な物語であり、本人の中に生まれる納得感にほかならない。

夢について語り、対話を重ねる中で、現状が整理され、現実の課題と向き合うきっかけが見えてくる。それこそが、アドラー派の夢解釈がもたらす真価なのだろう。


▼ アドラー派の「夢のワーク」の記録(後編)はこちら