『ぼくはワニのクロッカス』(ロジャー・デュボアザン)

絵本

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「木の中にワニがいる!」
子どもたちの目はきらきら輝きはじめます。

友達との関わりが広がり始める幼稚園後半から小学校低学年の時期。「自分は本当に受け入れられているのかな」という小さな不安を抱えるお子さんの心に、そっと寄り添う1冊です。

見た目の違いを越えた絆と、やさしい気持ちが必ず報われる安心感が、子どもたちを勇気づけてくれます。

おすすめ年齢:5歳から

著:ロジャー デュボアザン, 翻訳:今江 祥智, 翻訳:島 式子
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あらすじ

『ぼくはワニのクロッカス』(原題:Crocodile in The Tree、1973年)は、あひるのバーサとうさぎのジョニーが木の下で見つけた大変なものから物語が始まります。

それはなんと木の中にすっぽりはまったワニ!大きなしっぽに大きな口、口にはぎとぎとの歯がずらりと並んでいます。

このワニ、名前はクロッカス。見た目は怖くても、気性はとても穏やかで、みんなと仲良くなりたくてしかたありません。でも「きっとぼくは怖がられるだろうな…」と不安を抱えるクロッカス。

そんなとき、あひるのバーサは見た目ではなく、クロッカスの本当の姿を見つめてくれました。この1つの大切な出会いが、クロッカスの世界を広げるきっかけになりました。

バーサとジョニーは、クロッカスを農場の納屋へ連れていきます。最初は農場の動物たちも驚いて逃げ回りましたが、クロッカスが心やさしいワニだと知ると、みんなすぐに仲良しに。動物たちは納屋に藁を運び、クロッカスの隠れ家を作ってくれました。

ところがある日、農場の奥さん、スイートピーさんにクロッカスが見つかってしまいます。スイートピーさんは怖がって大慌てで逃げていきました。仲良くなりたいクロッカスは、ある行動に出ます……。

果たして、クロッカスはスイートピーさんと仲良くなれるのでしょうか?

出会い、受容、そして貢献

クリッとした瞳の動物たち、色とりどりの農場の風景。木の中にすっぽりとはまったワニという思いがけない出会いに心掴まれます。

この絵本の魅力は、かわいい絵と心温まる物語の両方にあります。クロッカスというワニを通して描かれる「出会い」「受容」「貢献」の物語が、子どもにも大人にも静かに語りかけてくるのです。

まずは出会いから。

最初は自信がなかったクロッカス。「ワニは怖がられる」という思いに縛られていた彼の世界が、あひるのバーサとの出会いで変わり始めました。バーサの偏見のない眼差しによって、クロッカスの心は少しずつ開いていきます。誰もが人生で一度は経験する、大切な出会いの瞬間でした。

バーサの手引きで、広がっていく仲間の輪。

バーサをきっかけに、クロッカスは農場の仲間たちに受け入れられていきました。動物たちの温かなかかわりに、クロッカスは思わず涙。この場面には不思議な力があり、読者の胸も自然と熱くなります。「ありのままを認められる」うれしさを、言葉以上に感じさせてくれる瞬間です。

そして、クロッカス自身が一歩を踏み出す。

物語後半で、クロッカスは新たな壁に向き合います。自分を怖がるスイートピーさんに対して、クロッカスは逃げる選択をしませんでした。自分にできることで心の距離を縮めようとする姿勢こそ、この絵本が伝えたい大切なメッセージかもしれません。

押しつけがましくなく、花の美しさに包まれながら、少しずつ心が通じていく様子が見事です。

著者紹介

この素敵な絵本を生み出したロジャー・デュボアザンは、1900年にスイスのジュネーブで生まれ、1927年に妻のルイーズ・ファティオとともにアメリカに渡った絵本作家です。作家であり画家でもある2つの才能を持ち合わせ、半世紀にわたって絵本の世界で活躍し、1948年にはコールデコット賞も受賞しました。

デュボアザンの絵の特徴は、シンプルでありながら生き生きとした表現力にあります。特に動物たちの表情が豊かで、少しの線の違いで様々な感情が伝わってきます。『ぼくはワニのクロッカス』でも、クロッカスの不安や喜び、動物たちの驚きや温かさが、簡潔な線とやさしい色彩だけで見事に表現されています。

彼の手掛けた絵本は全体で100冊を超え、世界中で翻訳されてきました。どの作品にも共通するのは、個性豊かな動物たちが活躍する温かな世界観。クロッカスのように、読者の心に寄り添う魅力的なキャラクターたちが、今もなお多くの子どもたちを絵本の世界へと誘っています。

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