【アドラー心理学】認知論とは?わかりやすく解説

アドラー心理学

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アドラー心理学の認知論ってなに?
認知論ってどう役立つの?

このような疑問をもった人へ、アドラー心理学の認知論についてわかりやすく解説。

この記事を書いている人(@atsukuteyurui)のプロフィールは以下の通り。

  • アドラー心理学の各種講座受講済み
    ※アドラー心理学ベーシック講座, SMILE, STEPなど
  • ELMリーダー
  • アドラー心理学実践 10年以上
  • 大学院にて、アドラーの原著を読み込み論文執筆(完了)

認知論は人生を大きく変える力をもった考え方。実際にこの考え方を自分の人生に役立たせるにはどうすれば良いのか?という疑問にも、記事後半で解説していきます。

↓アドラー心理学をもっと学びたい人へ。入門〜上級者まで、オススメ本を厳選してまとめました。

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認知論とは?

認知論とは

・認知論とは、私たちは現実それ自体を見ているのではなく、現実を自ら意味づけ解釈したものを体験しているという考え方のこと

・アドラー心理学では、ライフスタイルという独自の認知の枠組みを一人一人がもっており、それによってものごとの認知が決まると考える

あなたは事実ではなく、事実の解釈を見ている

アドラーは、認知論について『人生の意味の心理学』という本の冒頭で次のように述べます。

1. あなたは事実ではなく、事実の解釈を見ている
『人生の意味の心理学』

つまり、認知論の考え方では、私たちは現実そのものを見ることはできないということです。

よく「客観的に物事を見る」などと言いますが、どこまで自分が客観的に見ていると思っていても、私たちは物事を自ら意味づけて、解釈したものを体験しているにすぎないのです。

例えば、この水が入ったコップ。

このとき、これを見たあなたは「コップの水が半分なくなっている」と意味づけ、解釈するかもしれません。

もしくは「コップに水が半分入っている」と意味づけ、解釈するかもしれません。

このように同じ現実を見ているにも関わらず、人によって意味づけ・解釈は変わる可能性があるわけです。

1人1人は事実そのものを見ているわけではなく、事実を自ら意味づけて解釈している

これが、アドラー心理学の認知論の考え方です。

そして、個人の人生はこうした意味づけ・解釈の繰り返しの中で決まると考えるわけです。

ゆるい
ゆるい

人の性格を「ポジティヴ」「ネガティヴ」などと言われることもありますが、これも同じ事実を見ていても、解釈(認知)に傾向があることの一例です。
そして、ポジティヴな人とネガティヴな人とでは、1つ1つの物事の認知・解釈が変わるでしょうし、それを繰り返した結果として、人生すら変わるということも、理解していただけるのではないでしょうか?

あなたの認知はどのように決まるのか?

では、認知はどのように決まるのか?アドラー心理学ではライフスタイルと呼ばれる認知の枠組みを一人一人がもっていると考えています。

簡単にいうと、ライフスタイルとは「色メガネ」みたいなもの。

黒い色メガネをかけていると黒っぽく見える、赤い色メガネをかけていると赤っぽく見える。

それと同じで、人間は一人一人、知らぬ間に独自の色メガネをかけており、その色メガネを通して物事を認知していると考えるのです。


色メガネであるライフスタイルは、以下の要因によって、子ども時代(生まれた日から、遅くとも10歳くらいまで)に決まるとされます。

ライフスタイルを決める要因

1決定因 自己決定

2影響因
 ①身体的な影響
 (1)気質の遺伝
 (2)器官劣等性※身体的に弱い部分があること

 ②環境
 (1)家族関係 きょうだい関係、家族の雰囲気など
 (2)文化   育った国の文化、時代言語など

参照:ヒューマンギルド主催 アドラー心理学ベーシックコース資料

なお、人間には自己決定性(創造力)があり、周囲のいろんな影響を受けつつも、自らライフスタイルを掴み取っていくと、アドラーは考えています。

そして一度獲得したライフスタイルからは、簡単には自由になれません。

われわれはこの子ども時代にほぼ無自覚的につくったライフスタイルにしたがって、生涯にわたって考え、感じ、 行動することになるとアドラーはいうのです。

つまり、子ども時代に間違ったものの見方・認知を身につけた人は、それを生涯にわたって引きずり続けることになるのです。(それだけに子ども時代の教育はめちゃめちゃ大事!)

ゆるい
ゆるい

ライフスタイルについては、以下の記事にくわしくまとめています!

認知論を知って、人生が変わった話

そう言われてみると、なんでもネガティヴに考えちゃうし、すぐにイライラするし、いろんなことがうまくいかない。
自分のものの見方(認知)が間違っているってことなのかな…


ここまでの話を読んで、このように思われた方もきっといらっしゃることでしょう。

実際自分も同じで、自分の場合は、子ども時代に厳格で抑圧的な父親との関係にかなり苦労してきました。

その中で、100か0かで考える完璧主義とか、あとは我が家は体罰もきつかったのですが、すぐにイライラして物に当たるクセがあったり…

結構ゆがんだ物の見方をしていましたし、高校時代とか暗黒期で、友だちとかもほとんどいませんでした。

けれども、アドラーの認知論の考え方を知って、そうした自分の認知のクセに気付き、

ゆるい
ゆるい

自分は変な信念に囚われているんだなぁ…


とか、

ゆるい
ゆるい

「〜だから、自分は…できない」と、決め付けているのは自分だよなぁ
これはただの言い訳だなぁ


みたいに、自分の「ものの見方」を少しずつ意識できるようになったのです。


ただ、こうやって聞くと

なるほど!
じゃあ、物事の良い面だけを見るようにすればいいんだね!


みたいに思いがち。つまり「ポジティヴシンキング万歳!」みたいな考え方です。

実際、アドラー心理学って全般的にポジティヴです。

そして、アドラー心理学の「勇気づけ」や「課題の分離」を学べば、今までもっていた自分のネガティヴな認知に気づき、ポジティヴな認知にある程度は変えられるでしょう。


しかし大事なのは、自分の認知を変えるには、頭で理解するだけはダメだということ。

頭でわかっているつもりでも、心や体はわかっていなかったりする。

つまり、認知の問題って根深く、表面的な思考のレベルだけでは解決できないことがあるんです。


例えば体調が悪いとき、ちょっとしたことでイライラしたり、ネガティヴ思考になってしまうこと、だれもが経験したことがあると思います。

つまり、体の健康が人間の認知に影響を与えている一例ですよね。


自己啓発で有名なアンソニーロビンズも、「感情」は“身体の動き”に連動していると述べていて、身体性がいかに認知に影響を与えるかを強調しています1

アドラーも実はこうしたことを考えてはいて、肉体と精神、意識と無意識、理性と感情…などをバラバラにすることなく、全体的なつながりの中で見なければいけないという全体論の考え方をとっています。

なので、「自分の物の見方を変えたい」と思われる方は、ぜひいろんな角度からアプローチされてみてください。

ちなみに自分の中で有効だと感じたのが、運動・瞑想・整体などのボディワーク、無意識に気づくシャドウワーク、読書を通じていろんな考えに触れること…

そうした実践の中で、自分の認知というのは少しずつ変化していくものなのです。

私の認知を変え、人生を変えてきた本(難易度順)

「自分の認知を見つめ直す」という意味でもっともお手軽なのは、読書です。

読書は、たった数千円の投資で、人生を変える力があります。

実際に自分がこれまで読んできた本で、自分の「ものの見方(認知)」をガラリと変えてくれた本を、難易度順で厳選して紹介します。



『七つの習慣』スティーブン・R・コヴィー 著


難易度★☆☆

超有名な本ですが、やはり良書です。「パラダイムシフト」という言葉が出てきますが、「パラダイム」とはアドラー心理学のライフスタイルの考え方と共通です。

著:スティーブン・R・コヴィー, 翻訳:フランクリン・コヴィー・ジャパン
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『運命を動かす』『自分を磨く』アンソニー・ロビンズ著


難易度★☆☆

この本のすごいのは、ボディとメンタルの関係性を強調しているところ。かつすぐに使える実践の宝庫です。なお、白い本と黒い本の違いは、原著では同じ本『Awaken the Giant Within』なので、上下巻だと思ってください。どちらもオススメです。

著:アンソニー・ロビンズ, 翻訳:本田 健
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著:アンソニー ロビンズ, 原著:Robbins,Anthony, 翻訳:健, 本田
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『嫌われる勇気』岸見一郎著


難易度★★☆

アドラー心理学の言わずと知れたベストセラー。多くの人に読まれていることが証明しているように、確かに人の物の見方をガラリと変え、人生を変える力がこの本にはあります。

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『INTEGRAL LIFE PRACTICE~私たちの可能性を最大限に引き出す自己成長のメタ・モデル~』ケン・ウィルバー他著


難易度★★★

「肉体と精神、意識と無意識、理性と感情を全体で考える」って言われても、正直どうやればいいかわからないと思いませんか?この本は、そうした人間の全体性の中で、人間はいかに成長していくべきかという壮大なテーマを扱っています。かつ実践的で、たくさんのワークも載っています。

著:ケン・ウィルバー, 著:テリー・パッテン, 著:アダム・レナード, 著:マーコ・モレリ, 翻訳:鈴木規夫
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